奈良市の夫婦と子供2人、犬2匹のための住宅。敷地は緩やかな南向き斜面にひな壇造成された道路角に位置し、南側は5階建の集合住宅に面している。建物は土間+収納+水廻りからなる箱と居室空間からなる箱を嵌合するように組み合わせる構成とし、1階の大部分に大きなキッチンのあるパブリックなLDK、2階にプライバシー強度の必要な水廻りと寝室をすべて配置した。これにより時間による生活場所の区分が明確になる。LDK南東の大きな開口に敷地余剰空間一杯のボックス状デッキ(犬の回遊スペース)を掃き出しで設け、段差と手摺を利用した道路からの視線対策のみを行い、2階は周辺の道路と建物から視線の通る開口を制限した。周辺環境の違いに対して個別に窓際対策(カーテンやガラス)を行うのではなく、室の定義を住み手の生活に合わせて決める(決めれた)事で単一的でまとまりのある建物ができるのではないかと考えた。否定的な周辺環境へ閉じ過ぎず、開放的で豊かな空間を目指した。
PHOTO:合同会社CARVE.