総合病院敷地内に薬局、売店部を別棟で増築する計画。建築場所は重量擁壁で土留めされた高さ約2M丘状三角地。生い茂った樹木を出来る限り保存し、三角地に沿って延びる遊歩道を有効利用する事を考えた。遊歩道の利用を妨げないよう、1階部分をRCのトンネル状ピロティとした。トンネル躯体は歩道をオーバーハングする木造2階部分の基礎と丘の土留擁壁を兼ねる構造体となる。こうする事で、現状と変わらない遊歩道の動線を確保しつつ必要なボリュームを2階に配置でき、丘の樹木保存にも有効だと考えている。また土留擁壁と建物基礎壁を兼ねる事ができ、建設ロスカットに大幅に有効である。デッキテラスは南側に木造で設け、保存した樹木の隙間から心地良い木漏れ日の落ちる快適な外部空間となる。テラスは屋外の食事スペースや休憩場所として利用でき、内部を介さず直接出入りできる配置と動線とした。建物は南に向かって間口が大きく開くラッパ状の平面は、既存重量擁壁のライン、丘の現状の高さ、樹木の保存等を考慮、計算し可能な限り周辺への圧迫感を抑えた必要ボリュームを確保するためのもの。既存の三角地の区画に囚われるのではなく、有効利用する事で、現況より周辺環境を豊かに捉えられるような、敷地一体となった計画を目指した。