母屋の北側、 ひっそりとした庭に古い小さな農具小屋が建っていた。
出入口、窓、天井高さ、面積、すべてのスケールが大よそ人の生活を受け入れるには不足していたが、この小屋の空間はどこかピタッと体に寄り添うような心地良い距離感を与えていた。 構成材を一新し、同規模で改築されたこの小屋は、室内とその室内とほぼ同面積の広いデッキテラスがシームレスに繋がり、実際の部屋の広さの意義を”一瞬”消し去ってくれる。
週末住宅、時にゲストハウスとして使用されるこの小屋が、改築前の心地よい距離感を残したまま、そこを訪れる人を楽しませ、スケール以上の体験を与えてくれることを願っている。
PHOTO:長谷川 淳