日本六古窯として知られる信楽の山裾に、役目を終えた建物がひっそりと、地面から少し持ち上げられた状態で建っている。以前までタイル工房として使用されていたこの建物を、古くからこの地で窯業を営んできた窯元の若夫婦から、 今後の事業展開の発信の場となる、展示場,ギャラリーとして建物を再生したいという要望があった。私達は、夫婦から新居の相談を別件で受けていた事もあり、展示場の中にその住居も同時に計画する事を提案した。職住一体的な感覚で自分たちの生活を楽しんでいる夫婦であるため、“展示場に住む”事も計画によって成立さす事が可能と考えたからである。 既存の140㎡程あるワンルームの中心に、住居として完結できる必要最低限の個室と水廻りからなる新たな塔状建物をコアとして建築(増築)した。獲得できる空間は、様々な出来事や使い方を許容できるプログラムとしての容量が大きい空間となるだろう。
graphic:MORIPA / 森健