セレクトショップのインテリアデザインである。テナントは以前入居していた店が増改築を繰り返していた。無理やり2階を設置したことでできた低い天井、増築された空間等,建物が本来持っていたスケールが少しズレた状態で放置されていた。しかしその低い天井は、広すぎる空間に何処か落ち着きを与え、増築によりできてしまった空間は、既存建物とは異質な空間となり、内部であるのに外にでもいるかのような不思議な体験ができた。そしてこのズレたスケールこそが建物に個性を与え、新たなコンバージョンの可能性を示し、何よりも空間の拠り所となると考えた。インテリアの仕上げとして木毛セメント板を多用する事で、断熱性・防音性などの環境性能を確保すると同時に、それ自体がインテリアとしての表情となり、経済性にも配慮したデザインとなっている。
PHOTO:仲山由希子