京都右京区、起伏の大きい谷にある閑静な住宅地の旗竿敷地に建つ家族5人のための住居である。4方宅地に囲まれた敷地と、高度地区や景観条例等の厳しい都市計画の制限の中如何にして住宅としての居住性を高め、周辺宅地への影響を抑制するかが課題であった。西隣地住宅の日射を遮らないため差し掛け屋根とし、南側の半分の屋根を低く抑えた。南側半分は2層構成では2階部分の天井高が取れなかったため、この部分はすべて吹抜けとし、これにより1階は1.5層分のゆとりある天井高となり、同時に容積率規定値をクリアする事もできた。内部の居住環境の向上のために、差し掛け部分のハイサイド窓から北の暗い個室群に日射を取り入れ、建物の空気を煙突効果で逃がせるようにした。 吹抜けや個室を介して光、気流が内部全体に行き渡るように開口を設定し、建物自体が空間を媒介として繋がる一つの導管となるイメージで設計した。
PHOTO:luceat / 逢坂憲吾